母とカラオケに行きました

母とカラオケに行きました。

ざっと20年ぶりでしょうか。20年という数字も正しいかどうか分かりません。小学校に入るよりも前に一度だけカラオケに行ったことがあるような気がする、といった程度の記憶を元にした数字です。ほとんど初めてに近い形であることには違いありません。

母は機嫌が良ければ鼻歌を口ずさむので、母の歌を聞いたことがないわけではありません。ただ、わざわざカラオケに一緒に行って聞きたいかと言われると、そんなこともまずありません。今回、カラオケに行った理由は、母の歌が聞きたいからではありません。母がカラオケに行きたいと言ったからです。

母はずいぶんと前から「歌に自信がない」とか「カラオケではきっと歌えない」などと言っており、また、「他人と行くと恥ずかしくて歌えないから嫌だが、カラオケには行きたい」とも言っていました。そこで「一人でカラオケに行く人も多いから、気にせず行くといいよ」と教えてあげたのですが、なかなか行きそうになかったのです。そこで、きっかけを作るために僕が一緒に行くことにしました。

そうです、今回は母親のカラオケデビューを後押しするための企画なのです。

そもそも、20代男性の多くは母親とカラオケには行かないんだろうなと思います。友達とか女性とかと一緒に行くことが多いと思います。僕もそうです。きっと気恥ずかしいでしょう。僕もそうです。母親とカラオケに歩いていき、カウンターの人と「二名ですか?」「二人です」なんて会話をしたい人はそうそう居ないと思います。

僕は感覚がズレているところがあるのかもしれません。母親と何かをしても、比較的恥ずかしくありません。普段から何をしても恥ずかしい気持ちだからです。町を歩いていても、服装を、表情を、すれ違う人にあざ笑われているような気持ちになり、恥ずかしくなります。実際おかしいかもしれませんし、わざわざそう思うほどもおかしくないのかもしれませんが、僕は恥ずかしい気持ちです。でも、だからこそ母とカラオケに行っても比較的恥ずかしくありません。

僕と母はカラオケに行き、1時間半ほど歌い、家に帰りました。母の選ぶ古い曲や、僕の選ぶ懐かしい曲を、楽しく歌いました。途中からは妹もやってきて、一緒になって歌いました。母親とは20とすこし離れているので曲選びは難しかったのですが、楽しめました。

母は帰り道もご機嫌で鼻歌を口ずさんでいました。どうやら企画は成功のようです。